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元気です、と嘘を吐くのに疲れました。
私はいつも笑ってて、いつでも笑ってて、まるでそれが当たり前のように、いつも。

 

太陽

 

「どうしたの」

先輩が、いつもみたいに笑って言う。
おうかがいを立てるように、私を傷付けないように、優しい声で。

私は知っている。
その声が、いったい何を言おうとしているのか。

「すいません」

言い訳など、思い付きもしなかった。
ただ、頑張るだけでは駄目だ。
結果を出さない限り、そんなものは、ただの無駄だ。

「ナツは、いつも頑張ってるからね・・・・たまにはこんな日もあるよ。頑張って」

頑張って。

笑う声が、優しい言葉で私を脅迫する。
わかっている。
結果が出ないのは、単に私が甘えているからだ。
結局、私はこの程度だ、とかってに限界を決めて。

ただ、人よりほんの少し足が早かっただけ。
ほんの少し、優れていただけ。

それが、こんな所に来てしまったから・・・・

「すいません、記録・・・必ずのばします」

スパイクの紐を結んでいた先輩の手が止まる。
顔を上げ、先輩は嬉しそうに笑った。

インターハイまで、もう日がない。
いくら他の選手が記録を伸ばしても、リレーは一人では走れない。
先輩たちには、最後の大会。
私が、足を引っ張る訳にはいかなかった。

原因も、言い訳が通用しないことも、わかっている。
だから、余計に辛いのだ。

 

 

私の濃度か薄くなる。

元気です、と嘘を吐くのに疲れました。

 

 

私はまたいつものように、人に愛される、夏の太陽みたいな顔で、笑った。

〈了〉